人吉のSLがやってくるまでの間、20分ほどあり、周囲に人が全くいないところを選んだのはいいのですが、その分ひまをもてあましてしまいました。国道の道路からになるので、車はひっきりなしに通ります。なんだか少し恥ずかしいな、と思いつつ、周囲の畑に来る小鳥などを狙いながら待ちました。
ポーッ
サービス満点の汽笛を鳴らしながら、唐突にSLはやってきました。思っていたのより少し早かったので少々慌てましたが、速度はそれほど速くなく、慌てることはありません。が、やはりピントを外してしまいました。お恥ずかしい。
いえ、問題はそこではありません、やってきたSLのその姿を見て、愕然としてしまいました。「おいおい…」
SLといえば、古びた黒い車体に、いかつい顔つき、そして伸びた煙突から黒い煙を吐いて…というイメージを持ってしまっていた自分も自分なのですが、そうしたいかついイメージをできるだけ払拭してしまおう、とでも言うのでしょうか。綺麗に塗装しなおされたSL機関車は、品の無い黒光りを放ち、あまつさえ、その本体に何本もの金色のおしゃれなラインが刻まれています。かろうじて動輪は油にまみれたような、物々しさをかもし出していますが、それは近寄って車輪だけを見た場合の話。機関車全体を見たときは、まるで品の無いブリキのオモチャのようにしか見えませんでした。
とにかくシャッターを切りながらも、その姿に呆然としてしまいました。線路が見えている範囲はそれほど長くないので、ほんの数十秒、車体を見せたSLは、煙を残して桜のトンネルのほうへと姿を消していきました。ま、これならさほどこだわって撮影するほどのものではないな、と半ばあきらめながら、再度桜を撮影しようと、桜の並木道へと帰ってきました。
ピーッ
10分ほど後の便でしょうか。1両編成のワンマンディーゼルが、桜の下を通っていきます。古びた車体は生活感にあふれ、その線路の中に自然と溶け込んでいきそうな、飾り気の無い姿を流していました。どうせ撮影するなら、こっちがいいな。桜の撮影に集中していた自分は既にその列車を撮影できる余裕はなかったのですが、素直に、そう思いました。機会があれば、またチャンスを探して見たいと思います。
写真はターゲットにしていた桜の木から出てきたSL。置きピンをしていたつもりだったのですが、その位置があまりよくなかったのと、今改めてEXIF情報を見て見ると、何故かほとんど開放で撮影しています。そのため、しっかりピンボケ。ごまかすためにシャープネスをいつもより余計にかけています。また、煙の雰囲気を出すために、コントラストも高めにしてあります。
OLYMPUS E-3 ZD50-200mmF2.8-3.5SWD(72mm F3.5 1/750sec ISO 100)
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