ハンチング するなら露出を まず延ばし


昨夜は良く晴れました。久々に晴れたので、本当なら月夜を押して遠征に行きたいと思ってましたが、夜半には雨になる可能性もあったので、今回は自重して自宅でオートガイドの調整をしてみました。

自宅から30cmでM31 オートガイド 2021年8月
Canon KissX9(HKIR) Orion CarbonSTD300mm+SkyWatcherF4コマコレ CLSフィルター(1200mm F4.0 360sec x4 ISO 800)
Vixen AXJ赤道儀 50mmF4+SSAG PHD2でガイド YIMGでstack+PaintShopProとIrfanViewで調整

写真はテストで撮影したM31です。フラットもダークも撮っていないので、周辺減光と周辺の色が変なことになっていますが、中央付近の暗黒帯のいい感じは見えてきています。自宅からでも、一応ここまでは写りました。実際には、ガイドがガタガタだったので、あくまでテストです。

今まではTNK(て・ぬ・き)ということで、エンコーダー付きなのをいいことにノータッチでの撮影を続けてきましたが、さらに上を目指すためには、鏡筒のたわみなどを補正できるオートガイドを導入しなければ、長時間露出でしっかりした撮影はできないと踏んで、色々チャレンジを進めていました。

最終的には遠征先でラズパイを使ったオートガイドを行うつもりですが、まずは自宅でPCを使ったPHD2のオートガイドの確認を進めます。この日は北側のベランダにみぞかさん(AXJ)とギガントを展開して、極軸はてきとーに合わせて(それでも極軸望遠鏡の所定の位置にさくっと入れるぐらいはした)、アライメントを取った後、ファインダー部に50mmF4のガイド鏡とSSAGをセットしました。ソフトはPCのPHD2です。PCと赤道儀は繋いでいません。

で、実はこの構成のテストは3回目です。1回目はスターブックTENのオートガイド時の赤道儀の動きの調整を全くやっていなかった(全て1倍で動作)のもあって、とにかくハンチングしまくりでガタガタでした。

PHD2のガイド状況 1秒露出 2021年8月

…ん?あ!、これは0.5秒露出の時のものですね。まぁ、どっちにしても似たようなもんです(^^;
2回目はその辺を反省して、赤道儀の動きは0.2まで下げてみたのですが、最終的にハンチングを押さえるところまで行きませんでした。そして今回、3度目の正直です。まずは前回同様、1秒露出で、赤道儀の動きを0.2のままで…とやってたのですが、この状態だと、キャリブレーションが終了してくれません。動きが小さすぎるようです。この辺、キャリブレーションのパラメーターを調整すればなんとかなるのかもしれませんが、どこをどういじれば良いのかいまひとつ分かりにくくて、うまく行きませんでした。PHD2、使い慣れていないせいもありますが、どのパラメータが具体的にどう影響するか、困ったときにどのパラメータをいじれば良いか、全体的に分かりにくく作られている気がしていまひとつです…。

そうは言っても、せっかくの無料ソフトなのでこれを使いこなすのがベターな方法です。今回、みおさんが同様にハンチングで悩まれてて、露出とTime lapse※をそれぞれ5秒にして抑え込んでいました。AXJにそのまま当てはまるわけではないのですが、

確かにハンチングしまくっている動作を見ていると、オーバーシュートして反対側への修正が出ているのですが、すぐには反応せず、何度か修正が出た後、またオーバーシュート、というのを繰り返している感じです。修正動作が出てから、動き始めるまでに時間がかかっている感じですね。

PHD2のガイド状況 2秒露出 2021年8月

とにかく、これまで露出1秒で行っていたのを、単純に露出2秒にしてみました。これだけでも、ハンチングの勢いは少し収まった気がします。まずはこれで合計30分ほど露出してみました。しかし、やはりガイドずれはあります。もっと抑え込む必要があります。

あまり露出を伸ばすと修正動作が足りなくなるのでは?と勝手に懸念していたのですが、実際にはそんなことはなさそうです。とにかく、露出を倍の4秒にしてみました。

PHD2 4秒露出 この辺でよさそう…

…すると、なんということでしょう。あれほど暴れ回って困っていたハンチング動作が、すっかり息をひそめてしまいました。これなら、あと少しパラメータを調整すればなんとかなるんじゃないか、というところまで来ました。やはり、修正コマンドが出てから、実際に赤道儀が動くまでに少しだけ時間がかかるようです。その時間分待ってやれば、うまく行きそうな気配です。

調子に乗って露出を6秒にしてみました。ここまで露出を伸ばすと、キャリブレーションの時にすごく時間がかかって困るのでは?と懸念しているのですが、どうやらキャリブレーションは1秒露出で。ガイドが始まったら6秒露出で、とやっても問題ないようです。キャリブレーションには、他にも時間を短くするための技がいくつかありそうなので、別途まとめたいと思います。

6秒まで露出を伸ばすと、ガイドに使える星も一気に増えてきます、というか、これまで1秒で使っていたガイド星は飽和してしまって使いにくくなっていますので、適当な星を選び直します。そして結果は…。

PHD2 6秒露出 2021年8月

グラフだけ見るとなんとも言えないのですが、動作を逐一見ている限りは、変な修正動作やハンチングはほとんど無くて、うまくガイドできているようです。どうやら、4~5秒ぐらいのところに最適値がありそうです。後はみおさんに教わったTime Lapseを設定してみるか、でしょうか。

でも、実際の撮影では、いまひとつの結果になっていました。グラフにも出ていますが、時折大きく動いて変なことになっているのです。ただ、大きくずれても、ハンチングはしなくなっていました。

うーん、まだ何かあるのかな、と思いつつ、時間も遅くなってきたので片づけることにしました。で、その時に判明したのです。ガイド鏡を外そうと触れたところで…

…ガタッ…スルスルスルッ… ストッ(手に収まる音)

ファインダーのアリミゾに収めていたガイド鏡、うまく固定できていなかったからか、外れる寸前の状態だったようです。よく落ちなかったよな…(滝汗
この辺、固定が弱ければ何をやってんだか分からないガイドになってしまいます。アリガタがファインダーのアリミゾよりだいぶ細いので、固定がいまいちだったようです。ここはアルカスイス互換のプレートでも取り付けて、しっかり固定できるようにした方がいいのかもしれません。何か考えてみます…。

※ 「詳細設定」→「カメラ」の「間決動作(ms)(英語版だとTime lapse)」を5000ms とするようです。

--8月21日追記--
AXJでもハンチングするのか?という話もあるのですが、ハンチングはあくまでパラメーターと動作との兼ね合いなので、起きるときは起きると思います。今回のは、実際に赤道儀が動作して、それが露出に反映されるまでの間に、修正信号が多く出過ぎてしまった結果だと思っています(なので、露出=修正動作タイミングを伸ばすことで、落ち着いた)

もう一つ、AXJのエンコーダーが悪さをしているのではないか?という話もあります。みおさんのところではiOptronのエンコーダーが悪さをしていた?ようですが、AXJの場合は、修正信号=カーソル押し(のように見える)なので、修正信号が出ると、ターゲット位置よりずれるた位置に移動したかのように判断しているようで、今度はそこを基準にエンコーダーが動作している(はず)ようです。なので、エンコーダーが直接悪さはしていない、と思っていますが、エンコーダー機能OFFでのテストはやっていないので、どこかで検証しておきたいとは思います。

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