玄の館 ブログの部屋
街の灯に 淡く尾を引く 動く星 (パンスターズ彗星 C/2017 K2)
2022
/
07
/
24
天体写真
こんばんは。玄です。金曜日の夜はまたまた晴れました。
晴れたと言ってもやはり、お告げ(GPV)を見る限り、時間的にもエリア的にも限られている気配でしたので、今回も遠征はお預け。まぁ、毎年この時期に遠征に行けることは少ないので仕方ないと言えばそこまでです。その代わり、ここ最近は自宅でじっくり撮影できるシステムを組んできているので今回もがんばってみました。すぐに曇って来るかも…と心配してたのですが、月が昇って来る夜半ぐらいまではしっかり晴れていました。
Canon KissX9(HKIR) KOWA PROMINAR+TX07T (350mm F4.0 120sec x24 ISO1600)CBPフィルター
EM-200 ASI120MMmini+75mmF2.8+ラズパイPHD2でオートガイド。ステライメージ+PaintShopPro+IrfanViewで画像処理
まずは
先日の撮影
ではチェックできていなかったパンスターズ彗星、C/2017 K2です。決して明るくは無いのですが、尾が伸びてきているというのでチャレンジしてみました。これまで自宅からの彗星撮影だとかなり明るいものをセレクトして…という状況でしたが、今回は8~9等級というちょっと暗めのものです。それでも、CBP(Comet BandPass)フィルターを使えばそこそこ行けるかも…というチャレンジも含みます。このフィルターで彗星を撮影するのは
年末年始のレナード彗星
以来でしょうか。レナードの時は夕暮れの明かりがある夕方の短時間撮影で効果のほどはいまひとつ分からなかったのですが、今回はしっかり夜間のじっくり撮影です。
晴れているのを確認した上で前回同様、プロミナー指令(PROMINAR 350mmF4.0)をEM-200に乗せてガイド撮影を行います。今回はラズパイをぶら下げないように、ガイドマウントの上に置きました。そのままだと落ちるので荷造りひもで結び付けてあります(結局いーかげん)。まぶしいアクセスランプはアセテートテープで減光しました。いい感じです。
撮って出しだと淡い尾は分からなかったのですが、スタックして強調していくと、意外と長い尾が出てきました。彗星らしい形になってなかなかいい雰囲気です。CBPフィルターの効果はしっかりある…のだと思います(フィルター無しの比較画像が無いので自信は無い…)。ただ、このパンスターズ彗星、ここ数か月は地球に近いみたいで結構なスピードで南下していきます。この日も24枚(48分)の露出をしている分には核の部分が線状になっちゃってます。ここはやはり彗星核スタックをしなければならないでしょう。ただ、ステライメージ9で彗星核スタックをするには、メトカーフ法のパラメーターを入力しなければならない?のでなんだか面倒そうです。でも、ダーク、フラットを適応させた画像処理はしたいので、今回はちょっと変則的な処理をしてみました。
撮影データは同じ。処理はステライメージ9→YIMG→ステライメージ→PaintShopPro+Irfanview
とは言ってもそれほど複雑なことはしていません。ステライメージ9の「自動処理モード」で、ライト画像を3枚ずつ、合計8回処理して、それぞれTIFFで保存。その8枚をYIMGに持ってきて彗星核をセレクトした上で合計3回スタック(4枚+4枚→2枚)して彗星核のスタック画像を得て、それを再度ステライメージ9に持ってきて周辺減光等を処理し、最終調整にPaintShopProで処理して完了です。この辺、ステライメージのスタックを手動で行えばスムーズに行けるのかな…?
彗星核スタックになっているので、星は流れていますがその分彗星核や尾は少しすっきりして見やすくなっています。今回のパンスターズ彗星、彗星核がヘッド部分の右上に位置していてちょっと面白い形になっています。処理の仕方にもよりますが、もう少しトリミングした方が見やすいと思うので載せます。
彗星部分をトリミング
拡大してみると、彗星核が右上に位置しているのが良く分かるかと思います。露出や強調処理の仕方にもよりますが、彗星核からほぼ真下に向かってジェット?が噴出して、それがぐるっと回って左上に尾が伸びている…というような雰囲気ではないかと想像しています。違うかもしれませんが。
拡大して気が付いたのですが、彗星の左上になんか「線になっていない」星みたいなのが二つあります。なんだこれ?と思ったのですが、恐らく飛行機の点滅だと思われます。
普段はスタック時にシグマクリップをかけてこうしたノイズを除去しているのですが、今回はシグマクリップをかけると移動している彗星核が消されてしまうのでかけていません。そのため、人工衛星の航跡や飛行機の光が残ってしまったりしてるんですね。星基準なら目立たなかった飛行機の点滅光が核基準で目立ってしまっています。そういえば人工衛星とか飛行機とか、撮影していると結構入り込んでくるんですよね。人工衛星はずいぶん増えたなぁ、という気もします。
…ん?シグマクリップを外して…あ!この後処理を行った他の画像もシグマクリップをかけるの忘れているー!やり直しぢゃ…。
Canon PowerShotG5XmkII CanonZoom 8.8-44mmF1.8-2.8(8.8mm F1.8 1/3.3sec ISO 6400)
さて、撮影状況はこんな感じでした。天の川を肉眼では見えないのですが、撮影すればうっすら見えているような状況でした。そんな空でも、CBPフィルターを使えばここまで写ります。ここまで写るなら、あんまし無理して遠征しなくても…とも思ってしまいます。銀河とかの淡い所を写そうと思うとやはり暗い空でしっかり撮りたくなりますが、天候や月明かりが微妙な時はこれで結構行けそうです。
現状はガイドはラズパイに入れたPHD2で行っていますが、この辺を統合環境のAstroberryにしてしまいたいとも思ってます。思ってるだけでなかなか前に進んでないんですが(^^;夏休みの宿題かなー。
…おまけ。
露出2.5秒を300コマほどスタックしたところを画面キャプチャで保存しておいたもの。カラーバランスだけ整えています。
実は昨日、土曜の夜には電視観望をしてました。某博物館のお手伝いということで、関東からのリモート参戦のテストです。思いのほか良く晴れて、70-200mmF2.8のレンズであれやこれやとお見せすることができました。赤道儀にスカイメモSを使っていたので自動導入はできなかったのですが、最後にパンスターズ彗星の導入に成功。ノーフィルターでも少し露出をかけてやると尾が写ることが確認できました。リアルタイムに近い画像で彗星の尾がみえるのはなかなか楽しいですね。
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