見つめれば 数々の星と 天王星 (月食中の天王星食)


11月8日の月食では月食中に天王星食が起きるという超珍しい状況だったのですが、土星や火星と違って天王星だと「まぁ、普通に拡大撮影とか無理だよな」と諦めていたので、特にこれと言って特別な対応はしませんでした。ただ、あわただしい中でも、なんとか月食撮影の時間が取れましたので、屋根の向こうから部分月食が上がってきた後は、なるべく均等に5分おきに、様々な露出で月を撮る、というそれっぽいことをがんばってみました。

月食中の天王星食処理中。天王星食中の星 2022年11月
自宅での撮影なので、撮影しながら食事をするとか、コーヒーを飲むとか、猫とたわむれるとか、割とのんびりできそうな雰囲気なのですが、実は5分おきに撮影、しかも皆既の前後や、天王星潜入/出現の時とかは望遠鏡に張り付きになるし、5分の間に家に入って何かをしようとしてもそんなに余裕はないことから、意外とバタバタしてました(^^;
しかも、5分おきと言ってもタイマーをセットしているわけではないので、「うわ、もうこんな時間だ」という事がしばしば(というか、常にそんな感じ)

せっかく5分おきに撮影したので、露出1秒もしくは0.5秒(食の後半、部分月食の所は高度上がって0.5秒でもハロがすごい…)でのものを集めて、天王星の動きを合成してみました。

ところが、これが思っていたよりも大変な作業になりました。そもそも極軸を合わせられていないし、月の動きに合わせているわけでも無いので、撮影方位がバラッバラです。

なので、位置合わせは月基準として、1枚ずつコピペして「差の絶対値」でなるべくきちんと合わせます。使っているソフトはPaintShopPro(Ver.X9)。幸いなのは、赤道儀で撮影しているので月の向きだけはきちんと合っている(極軸が微妙なので厳密には少しずれてるかも)ことでした。これに画面の角度の違いが入ってきていたら多分発狂していたと思います。

位置合わせをすると、ほぼ5分おきの天王星の動きが見えてきます。潜入までは皆既中なので、そのまま月も重ねても特に違和感はありません。なかなか楽しくなってきます。ここで、改めて月の周りを見て見ると、意外と多くの星が見えていることに気が付きます。皆既中に1秒の露出をしただけで、これだけの星が写るんだな、と改めて実感しました。

この辺の周囲の星も動きを表すためにできるだけ入れたいよなぁ、と欲が出てきました。最初は天王星のみの動きが見えれば良いかな、と思っていたので潜入/出現前後のカットのみ、しかも天王星の部分だけをコピペして表現しようとしてたのですが、撮影エリア全体を合成しようとしてしまいました。ああ、地獄が見える…。

月食中の天王星食 出現後を重ねて見るハロが凄い 2022年11月

問題はこれからです。潜入までは全然問題ないのですが、出現(関東では9時20分以降ぐらい)からは、皆既が終わって出てきた月の明るい部分が影響し始めます。特に後半部分は月が明るすぎて画面全体がほんわかと白くなってしまい、星がだんだん見えなくなってきます。普通に比較明で重ねたのでは真っ白になってしまっておもむきも何もありません(^^;

仕方ないので、後半の月が大きくなっている部分は、天王星とその付近の目立つ星の部分だけを範囲選択して残し、残りを暗く処理して対応しました。ただ、それでも皆既中の空の明るさに合わせると、これらの星もちょっと暗くなって見にくくなっています。

あれこれ試行錯誤して苦労の上に仕上げた結果がこちらです。

月食中の天王星食星の動き 皆既中の月と合わせて見る 2022年11月
Canon EOS80D BORG 107FL+マルチフラットナー(648mm F6.0 1or0.5sec ISO 800)
iOptron CEM25EC赤道儀 PaintShopProで合成、調整

ほぼ5分おきの月の動きです(月基準なので、星が動いて見えます)。月は右下から左上に向かって動いていますので、月を基準にすると、天王星を含む星々は左上から右下に向かって動いているように見えます。月の画像は天王星食の20分ほど前、皆既が最大に近い頃のものを使っています。
これだけを見ると「どれが天王星?」となりますが、月の左下、途中隠れて、また出てきている奴が天王星になります。色はもう、分かりませんね。画像としてはなんとかそれっぽくは見えていますが、天王星を含む星はもうちょっと強調したいところですね。いやもう、これ以上加工する気力は残っていません(^^;

ええかげん疲れてきましたが、昨年の「ほぼ」皆既月食に続いて、ほぼ全過程がしっかり見えた皆既月食、同じ機材で撮影した月食としては3回目なので、まだもう少し考察してみたいこともあります。時間をおいて、ぽつりぽつり出していくかもしれません。

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