玄の館 ブログの部屋
物欲を 押さえたくても 見てしまう (CP+ 天文関連編)
2023
/
02
/
25
機材
さて、
カメラ・レンズ編
に続いて、引き続きCP+レポート、分割してしまいましたが天文関連編です。今回のCP+に出品している天文関連としては、大きくなったSIGHTRON、ケンコー・トキナー、Vixenと言ったところでしょうか。ブースの数だけで言えばそんなに無いのでちょっと寂しい気もしますが、それぞれの厚みがあったり複数ブランドを取り扱っていたりと、なかなか充実した内容となっていました。今回は平日訪問という事もあって比較的じっくり話も聞くことができました。参加メーカーとしてはZWOとかにも参加してほしい所ですがそのうち出てくるかもしれませんね。カメラメーカーだし。
ケンコー・トキナー
さて、SIGHTRONを最後にした関係でまず訪れたのはケンコー・トキナーブースです。ここは複数ブランドを扱っているのでここだけでおなか一杯になるぐらい見どころがあります。ただ、望遠鏡の展示はなんかごちゃっと置かれているだけで新製品らしきものも見当たらず、少し寂しい感じもしました。
…む?手前のAZM-70は「参考出品」の札がかかっていますね。新製品なの?と思って検索をかけて見ると…
生産終了品でした
…ヲイ。
今回のCP+では双眼鏡の展示が多く見られましたが、ここKenkoでも多くの双眼鏡が並んでいました。トレンドは防振双眼鏡みたいですが、ちらっと覗いてみて「なんだかカメラのファインダーを覗いているみたいだなぁ…」と思ったのは私だけでしょうか。最近のカメラの手振れ補正とビューファインダーの進歩がすごいので、そんな印象を受けました。実際には色々便利なんだろうとは思います。
色々並んでいる双眼鏡の中でもちょっと不思議に思ったのがこの8x32,10x32のシリーズ。2種類並んでますが、片やウルトラビューEX、そしてもうひとつが「コンパクト」(手前の2台)。コンパクトの方が明らかに背が低くて、実際100gほど軽いようです。(実は定価も安い)覗いてみた感じでは差は感じませんでした(まぁ、双眼鏡の選択眼に関しては玄は素人…)。説明の方に聞いても違いはあまりはっきり伝わりませんでしたが、コンパクトの方にはバローレンズ相当が入っているので小さくできているとか。でも視界も少し広いし、普通に考えたらコンパクトの方を買えばいいじゃん…。8x40のこんなの出ませんかね…。
この他にもケンコーではポタ赤のスカイメモシリーズも展示されていました。スカイメモそのものは
既にスカイメモSのシステムを組んでしまっている
のでさほど興味は無いのですが、担当者らしき人がいたので、「単三電池を内蔵できるのは便利なんだけど、とにかく電池の出し入れが大変なんですよー」と苦言を言っておきました。そこは担当者も認識しているみたいで、なんとかしたいという気配はあるようです。まぁ、金型が決まっているんでしょうからすぐには改善されないんだろうな…
そして期待のフィルターがスターリーナイトとプロソフトンを組み合わせたフィルター、その名も「STARRY NIGHT PROSOFTON」…って、そのまんまやんけ。プロソフトンA相当のボカシ具合だと強調しすぎだよな、と思ったら「プロソフトンクリア」相当の強調度合いだそうです。6月発売予定のようですが、なかなか気になるフィルターになりそうです。欲しいけど…そういや持っているプロソフトンクリアも最近使ってないぞ(^^;
そしてケンコーブースの目玉はやっぱりBORGでしょう。開発中の参考展示ですが、125FL SPカーボン鏡筒セットがまぁ目立ちます。しかもその鏡筒がスーパーレジン工業のKaleido(カレイド)。っと言っても私もピンとこなかったのですが、あのはやぶさ2で使われたカーボン素材だと言われればなんと!と思うしかないじゃないですか。宇宙仕様ですよ。
実際鏡筒部品を持たせてもらいましたが、こんな風に指先で軽くつまんでも全く問題なく持てるぐらいの軽さです。重さも4kgぐらいらしく、アルカスイスのマウントで接続されてましたから、とにかく軽い様です。「え?バランスは…?」と心配した通り、接眼部を外すとまんま前向きに倒れてしまうぐらいだとか。
今持っている107FLはレンズ部分を外して小さくするとドライキャビネットに入るのですが、さすがに125FLは分解できるようにはならないだろうとのことです。むしろケースを考えた方がいいですよね、と納得しました。とにかくこれができれば他には無い特徴の125mmになるでしょうから期待したいですね。価格もすごいことになりそうですが…。
BORGブースでは、
今の私の使い方で問題になっている107FLに0.72xDGQ[7872]を組み合わせる方法
を聞いてみました。
もちろん推奨環境ではないため色々あるでしょうが、とりあえず便利な組み合わせにした際にピントが出ないのが一番の問題なので、やはり鏡筒を縮めるのが一番でしょうということで、
80φ70mmカーボン鏡筒[7070]
を提案されました。まぁ、この辺が妥当な線だとは思います。ただこれ、15,000円ほどするんですよね。使いやすさを取るか、使用頻度を考慮して回転は鏡筒バンドでガマンするか、悩ましいところです。いずれにせよ、わざわざ調べて提案していただいた担当の方、ありがとうございます。
そうそう、ケンコートキナーのブースで気になったものをもう一つ。ミラーレンズです。300mm~900mmまで取り揃えていて、今後一つのジャンルになるようです。特に300mmF7.1は非常にコンパクトで面白そうな感じでした。ただ、APS-C対応のみで、マウントはTリングではないんですよね。Tリングなのは400mmレンズだけのようです。
…ん?この400mmミラーレンズはケンコーブランドで、300mm,600mm,900mmのミラーはTokinブランドなんですね。元がちょっと違うわけです。ただ、いずれのレンズもフォーカスリングの造りは秀逸で、ぬるぬる動くフォーカスリングは触っているだけでなんか気持ちいい感じでした。
Vixen
ビクセンのブースはこじんまりしていました。過去に訪れた時はポラリエUのセミナーに聞き入ったりして楽しかったのですが、今回は平日という事もあって特にセミナーらしきものは無し。そして、一番の注目株はやはり
VSD90SS
でしょう。見た目はもう製品状態で、価格も決まって(\682,000)いつ出荷が始まるのだろうか、というのが最大のポイントでしょうか。年内発売ということなんですが、
HIROPONさんのブログ情報
を見るとちょっと不安になってきます。と言っても買えないんですが(^^;
性能としては5群5枚のSD2枚ED1枚の豪勢な組み合わせです。f495mmのF5.5ですが、作例を見る限りレデューサーV0.79x(\88,000)も使えるようです。同じ時期に出てきている(こちらは既に発売)SHARPSTARのZ4に比べるとちょっとお高いようですが、性能そのものや、イメージサークル60mmだったり、周辺光量の豊富さだったりするところが特徴になるのだと思います。周辺光量90%以上っていうのはすごいですよね。
担当されてた方に「Z4とかとコンセプトが少し違うしイメージサークルの違いが価格差ですかね」と聞いてみたのですが、やはり性能の高さが大きな違いの様です。使い方としては夏・冬はフルサイズを付けて星雲を狙い、春には小型のCMOSを付けて銀河を狙えます。結局お得ですよ~という話もしてました。まぁ、確かにそうかもしれませんが、絶対金額としてはそう、ホイホイ買えるもんじゃないですよね(^^;
この他期待していたガイド鏡兼用ファインダーも近々製品化されるようです。これ、外したアイピース部分を他に持って行って十字線入りアイピースとして使えるとか。それはそれで面白そうです。ただ、こうした新商品は昨年のCP+辺りから話は出ていたもので、今年のCP+ならではの新製品という感じではありません。ちょっぴり寂しい感じでした。
もう一つの目玉になりそうだった「ワイヤレスユニット」も、なかなかキビシイ気配でした。というのも、スターブックTENは今後生産できなくなるようで、このワイヤレスユニットに集約されてしまうというのがひとつ。そして問題としては、ワイヤレスユニットは国内生産しているらしいのですが、とにかく入荷数が少なくて、セット品に回すのがせいいっぱいでパーツ販売ができない状態だとか。半導体不足の影響なのだとは思いますが、ちょっとお粗末な感じもします。元々の数が揃えられないので後回しにされているのかもしれませんね。がんばれ、ビクセン!
SIGHTRON
そして次々に新製品を出して注目のSIGHTRONです。入口左側に大きなブースを出して目立っていました。天体望遠鏡だけでなく、各種マニュアルフォーカスレンズを取り揃えていてなかなかのラインナップです。LAOWAのレンズだけでもかなり揃って来ていて、星景撮影用に広角の明るいレンズを一本欲しくなります。
展示の中で望遠鏡としては異彩を放っていたのがこの「スマート天体観望ステーション」VESPERAでしょうか。コンセプトとしてはポン置きでスマホで観望できる、というパターンなんでしょうが、35万円ぐらいだったでしょうか。やはり価格はネックの一つになるでしょう。学校などの教育現場とか、あるいはキャンプでレンタルで一晩1万円以下ぐらいで貸し出すとか、気軽に使える環境を作って、天文に興味を持ってくれる人のすそ野を広げてほしいところです。
あぷらなーとさんの「邪悪トリプルキット?」も展示されていました。10cmアクロマート屈折の3連砲が展示されるのは後にも先にもここしかないのでは?と思ってしまうぐらいインパクト抜群です。さすがにあぷらなーとさんの組成そのもの、というわけにはいかなかったようで、接続部のプレートはオリジナルのまま(バランス上長いバーにした方が良い)でしたし、接眼部(レデューサー部?)には白い部品が組み込まれていました。3Dプリンターでアダプターを作ったのかもしれません。
これはこれで非常に魅力的なんですが、鏡筒はとにかく、カメラやフィルターやその他もろもろも3本セットで組み上げなければならないので、なかなかハードルは高そうです。
屈折の新製品がたくさんあるのですが、中でも注目各部はやっぱりこのSHARPSTARのZ4でしょうか。ぱっと見た目はVixenのVSD90SSとモロかぶりなんですが、そこらへんの性能差は恐らくあるのだとは思います。ただ、実際には100mmF5.5、3群6枚で2枚のEDレンズ、中心部スポット半径3μmと、なかなか意欲的な製品です。Vixenさんとちょっとかぶってますよね、という話と、春の銀河撮影の話をしたところ、コンセプトとしてはそうなんですが、銀河は結局シーイングの方が影響大きいしなぁ、というような話もしてました。まぁ、確かにガイドやシーイング等、本当に実力を発揮できる状況というのは意外と少ないのかもしれません。
AskerFRA、PHQ、SHARPSTARZ4と、似たようなコンセプトの製品を次々に出しているのですが、消費者としてはどれを狙えばいいのかというのもちょっと迷います。
「SHARPSTARの通常品は3枚玉で、フラットナー等が必要。AskerFRAは撮影用に特化してオールインワンで設計。PHQの「Q」はQuadのQで4枚玉(3枚玉+フラットナー)という意味ですが、FRAに比べるとPHQの方が設計が新しいので、シャープに使えます。そしてZ4は一番設計が新しいので一番シャープ。それぞれに特徴はありますが、一般に設計の新しい新製品の方が星像はシャープになります」とのことでした。確かにF値や作り込みなど、若干のコンセプトの差はありますが、これだけ次々に新製品を出すのはなんせすごいな、と感心しきりです。
で、どれが欲しい?と言われれば全部欲しくなるのですが、直近では気になるのはZ4でしょうか。ただ、これは現状レデューサーは考えられていないんですよね。撮影側の精度を考えると、FRA400とか500とかの方が面白いかもしれません。
さて、他に目をやると、三脚がなんかいっぱい並んでいます。確かSIGHTRONのカーボン三脚って、1種類じゃなかったんでしたっけ?と思ったんですが、ここには少なくとも3種類は並んでました。そのうち詳しく出てくるかもしれません。
並んでいる望遠鏡の中でも目立っていたのがこの151PHQでしょうか。まだ参考出品のようですが、造りは製品ぽい感じでした。売られれば「あこがれの望遠鏡」の一つになるでしょうから、頑張ってほしいところです。
前玉を覗いてみたら、f/7 SuperAPO、D=151mm F=1057mmとあります。F7ですから無理のない設計になっていると思いますが、タカハシのTOA150がF7.3ですから、ほとんど同じですね。なんとか一般の人も手の届く価格になってほしい気がします。買えませんが(^^;
その151PHQの載っている赤道儀ですが、「これってiOptronのCEM70ぢゃ…と思って気が付きました。違います。Sky-WatcherのCQ350PROというもののようです。SkyWatcher色の緑に各所が色分けされてますが、まぁ…多くは語るのはやめましょう(^^;
そのお隣、SCA260が乗っている赤道儀が、SHARPSTARのMARKIIIという赤道儀だそうです。こちらも詳しくは聞けてませんが、重量7kgぐらいで、耐荷重量が22kgぐらい。イメージとしてはAM4よりは一回り大きいのが行ける、というところでしょうか。コントローラーはWiFiの関係もあって、AlthibaPROを実装しているとか。こちらも発売が楽しみな赤道儀ですね。こうした波動歯車赤道儀は今後も次々に出てくると思うのですが、数が出てもう少し安く手軽に扱えるようにならないかな…と勝手に期待しています。まぁ、そう簡単には行かないかな。
※2/27追記:この赤道儀、Webには情報が少ないのですが、もらってきたSHARPSTAR/ASKERのカタログには載ってました。価格等はありませんが、本体重量7.6kg、積載可能重量はウェイト無しで22kg、ありで28kgだそうです。ハーフピラー付きカーボン三脚、ウェイトシャフト、5kgウェイトが標準付属だそうです。後は価格次第か…。
そうそう、もう一つすごく気になる開発品の展示がありました。SJ-M経緯台です。写真右側の経緯台状態を見て見れば、これはもうどこかで見たような某0経緯台にそっくりなんですが、実はウォームとその他パーツ追加に特徴があるようです。
なんでも、水平、垂直部分のパーツは全く同じものだそうで、それらを組み合わせて経緯台にできるし、モーターを付けて極軸を合わせればポタ赤になる(左側)そうです。それもSWATのPEC技術を使って結構な精度が出るとか…。ウォームの直径の限界もあるでしょうからあまり期待するのは禁物なんでしょうが、やり方次第では1台の経緯台が2台のポタ赤になる(変形次第では赤道儀にもなる?かも?)というものです。コントローラーも今後もう少し小さいくしたいと言ってました。いやなんか何でもありで凄い感じです。これだけ見ると開発初期段階の様にも見えますが、5月に発売予定って書いてますよ。マヂすか?
さて、この日はこの後天リフの山口さんと合流して食事の予定でしたが、そこでXRAYさんのキャプチャーに成功。3人で楽しい夕食時間をすごさせてもらいました。ありがとうございました!。とにかく楽しいCP+でした。ちょっと油断して到着が遅めになったのが悔やまれます。あと2時間早めに行っておくべきだったな…。反省。
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