玄の館 ブログの部屋
迫る夕 最後のチャンスに彗星を (西村彗星 C/2023 P1)
2023
/
09
/
18
天体写真
西村彗星が近日点を迎えて、西空に移動しています。明け方の空でも辛うじてその存在を見ることができたのですが、西空でも彗星を捉えている方もいらっしゃるので、可能性はあるのか?と思いつつ、チャレンジしてみました。
Canon KissX9i(HKIR) KOWA PROMINAR+TX07T(350mm F4.0 1/1.7sec x4 ISO800)CBPフィルgター
iOptron CEM25EC赤道儀 YIMGでstack+PaintShopProとIrfanViewで調整
実は昨日もチャレンジしているのですが、用意した機材は
明け方の時
の反省点を踏まえて、どうせ固定撮影になる!と、OLYMPUS OM-1に12-100mmF4.0と、普段撮りのシステムを三脚に据えての撮影でした。天気も良くて撮影条件は悪くなかったんですが、いかんせん夕焼けの空は明るく、存在は分かりませんでしたし、撮影結果を持ち帰ってコントラストを強調しても彗星の存在を見つけることはできませんでした。こりゃあ、無理だなと思ったんですが、ネットを見ると、それでも撮影されている方は結構います。これは…?
夕焼けの薄明が残るところでの撮影になるので、かなりのコントラストを稼ぐ必要がありますが、望遠レンズの100mm程度までだと、どうやら周りの明るさにかき消されて存在さえも確認できなさそうです。となると、望遠鏡クラス、少なくとも200mm~300mmのレンズを持ってきて撮影しないと厳しいようです。ここは一つ、プロミナー指令(350mmF4.0)をまる子(CEM25EC)に乗せて撮影するしかなさそうですが、そんなチャンスはあるのか…?
本日も辛うじて天気は晴れそうです。ただ、撮影場所の関係で昨日の場所は使えません。近所の西空~北西が見える場所と言えば…ちょっとした高台でかろうじて見えそうな場所がありました。昼間にチェックしてみると、真西には茂みがあって結構厳しそうです。とりあえずチャレンジしてみない事には始まりません。時間が迫る中、ダメ元で機材を揃えて現場に向かいました。
問題は自動導入するにしても、アライメントをどうするか、です。双眼鏡等で彗星が確認できない以上、もう自動導入に頼るしかありません。幸い、細い月が出ているのでこれを基準にすることにします。ただ、まる子のメニューに月に寄るアライメントはありません(惑星はある)。そこで、1点アライメント極軸補正を使います。これはアライメント無しの状態で月を導入し、その状態で本体ごとずらして東西(極軸)を合わせ、後はクランプを緩めて赤経軸を手動で調整して月を入れて、アライメントがあったことにしてしまうというものです。これで彗星の赤経赤緯を入力して導入すれば、そこそこ入るはずです。
ただ、実際ファインダーを覗いても彗星が判別できるわけではありません。後は撮影して…あれ?ほとんど茂みしか見えんんん!?
位置的に相当微妙な場所でした。慌てて赤道儀本体を可能な限り北側に寄せ直してもう一度月でアライメント、そして導入です。画面内には山肌が見えてます。もうほとんど時間がありません。空の濃さを見ながら、露出を変えてとにかくシャッターを切りました。現場では写っているのかどうかは全く分かりません。その後、本来ならスターリンクが見えたはずでしたが、あまりにバタバタしてたのでスッキリ忘れて撤収してきました。
矢印で彗星位置を明示。実はこんなところにいます。
そして画像をチェックしてみました。なんか画面の左下の方に星らしきものが見えます。尾は分かりませんが、なんとなくぼんやりしているのと、この辺に明るい星は無いはずなので、多分これが西村彗星なんだと思います。おお、写ったぞ!
撮影風景。頭上から結構街灯が照らしてました。
かなりぼんやりですし、地面スレスレですが、それでも頑張った甲斐がありました。明日以降は時間的にも天候的にも多分無理です。最後のワンチャンスで撮影に成功できたのはラッキーでした。
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コメント
UTO
西村彗星追撃、おつかれさまでした。
撮れただけでも、戦果としては上々ではないでしょうか。
自分も、こういう西空薄明の彗星は、2007年のマックノート、2013年のパンスターズを経て、経験積んだ(つもりな)ので、うちの機材の中で一番有望なNFD328+X-E2を選びました。
X-E2を選んだのはα6000RSより使い慣れてるのありますが、Dレンジが実際広い(実質ISO感度低いと言われていたし)と思っているので・・。
悪条件だといろいろ難しいんですよね。ほんの僅かな差で撮れなったりしますから、撮れただけでも大成功ですよ。
2023/09/19
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Re:
玄
UTOさんどうも~。そうなんですよ。撮れただけでも超ラッキーだとは思います。位置的にも、本当にギリギリぽい感じでした。
明け方の撮影でもそうでしたが、やはりこういう条件の厳しい撮影では、どれぐらいなら写るのか、どれぐらいの機材を用意すべきなのか、位置合わせはどうやるのか…、色んな経験がモノを言いますね。
…と、改めて夕空で撮影できたレナード彗星の条件を見て見ると、露出10秒ですよ。
https://genyakata.blog.fc2.com/blog-entry-4668.html
やはり今回の1秒以下の露出では尾は厳しそうですね。UTOさんの彗星はすごい!
こうした露出の感覚や、「写っていると信じて露出を続ける」と言ったノウハウもまさに経験のなせる業ですね。
そういう意味では、今回の西村彗星はいい経験になりました。次はきっともう少し…(^^;
2023/09/20
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コメント
撮れただけでも、戦果としては上々ではないでしょうか。
自分も、こういう西空薄明の彗星は、2007年のマックノート、2013年のパンスターズを経て、経験積んだ(つもりな)ので、うちの機材の中で一番有望なNFD328+X-E2を選びました。
X-E2を選んだのはα6000RSより使い慣れてるのありますが、Dレンジが実際広い(実質ISO感度低いと言われていたし)と思っているので・・。
悪条件だといろいろ難しいんですよね。ほんの僅かな差で撮れなったりしますから、撮れただけでも大成功ですよ。
2023/09/19 URL 編集
Re:
明け方の撮影でもそうでしたが、やはりこういう条件の厳しい撮影では、どれぐらいなら写るのか、どれぐらいの機材を用意すべきなのか、位置合わせはどうやるのか…、色んな経験がモノを言いますね。
…と、改めて夕空で撮影できたレナード彗星の条件を見て見ると、露出10秒ですよ。
https://genyakata.blog.fc2.com/blog-entry-4668.html
やはり今回の1秒以下の露出では尾は厳しそうですね。UTOさんの彗星はすごい!
こうした露出の感覚や、「写っていると信じて露出を続ける」と言ったノウハウもまさに経験のなせる業ですね。
そういう意味では、今回の西村彗星はいい経験になりました。次はきっともう少し…(^^;
2023/09/20 URL 編集